カーボン分散もできる超音波分散機
超音波分散機の機能は、大きく分けて乳化と分散に活躍します。
乳化とは水と油のように異なる成分を混ぜ合わせた状態のことで、特に化粧品のクリームや化粧水や印刷工場などで使用するインク類、様々な顔料を混合させる塗料やコーティング剤の製造に欠かせません。
極めて細かく目に見ることのできない無数の気泡と生じる水流は、対象物を一次粒子状態にして安定した乳化状態を可能にするため、製品品質の長期安定化に大きく貢献します。
超音波分散機は、カーボン分散にも利用されています。
乳化は異なる成分を一次粒子レベルで混合させますが、それとは逆に一次粒子が凝集(集まり固まった状態)したカーボン(炭素)を、小麦粉やサハラ砂漠の砂塵のような粉末に分散できます。
カーボン分散する際には、対象物の表面に樹脂液などを塗って湿潤状態を作り出してから超音波を照射します。
毎秒4万回に達する超音波により、極めて細かい振動を与え続けると細かい粒子へと分散させ、分散剤を用いることで粒子状態を保ちます。
これらは針状に成長した結晶であるウイスカー、多数の炭素原子のみで構成する閉殻空洞状構造を持つフラーレンに加工する際に欠かせません。
特にカーボンフラーレンは、極めて細く軽量性と柔軟性に加えて高い耐久性を誇るカーボンナノチューブに必須の重要素材であり、ポストシリコン時代の半導体や燃料電池、将来的には軌道エレベーターのケーブル素材になるとも期待されています。